研究日誌

ワークショップ

概要

概要データ

チケット販売

タイトル:デジタルで服の「切る」ワークショップ

日時:11月2日(土) 13時~16時30分

場所:ファボラボ平塚(神奈川大学湘南ひらつかキャンパス1号館2階)

目的:レーザーカッターやカッティングマシーンの使い方を体験したうえで、衣服制作にデジタルファブリケーションを活かす可能性を模索する

内容

  • 紙に書いたデータをスキャナーで読み取り、データの作成を行う

  • レーザーカッターやカッティングマシーンで実際に素材を切って使い方を体験

  • 実際に使ったことを通して、衣服制作にどのように生かせるかをデスカッション

  • 持ち物:レーザーカッターやカッティングマシーンで切ってみたい素材

    参加費用:無料

    対象:被服制作は型紙からひと通り作ることができるが、デジタルファブリケーションを初めて体験する人

    人数:4人まで

    スケジュール

    9/23-9/29:概要作成。布、レーザーカットデータ収集

    9/30-10/6:布、レーザーカットでーて収集

    10/7-10/13:布、カッティングマシーンデータ収集

    10/14-10/20:布、カッティングマシーンデータ収集

    10/21-10/27:ワークショップでの必要なコトモノ確認、簡単にできるレーザーカット、カッティングマシーンカッティングマシーンを使ったレシピ(この週までに考えておく)

    10/28-11/1:リハーサル(実際に機会を動かすかは未定だが、誰かに使い方を説明して伝わりやすい方法を探っておく。必要なものの抜けがないか確認する)

    11/2:当日

    準備・実験

    レーザーカットのデータ収集

    レーザーカッターを使って、布を切り、どんな設定だったらいいかを考えていく。

    リボン。

    番号スピードパワー評価
    15悪くはないが、切った後に少しほつれが出る。
    16最適。ほつれなし。
    17切り口が焦げる。

    綿のシーチング。②~④ではあまり差が表れない。それぞれ図形の中心部分は触っていると簡単に壊れてしまった。切った直後ではほつれは確認できない。

    番号スピードパワー評価
    15切れない。
    18最適。奇麗に切れる。
    17②と大差なし。
    16②と大差なし。

    こちらはシーチング材を彫刻した。

    番号スピードパワー評価
    5050彫刻できない。中身がほぐれる。
    5040中身がほぐれる。
    5030裏に彫刻の絵が出てしまう。少し強い。
    5020薄い。輪郭がぼやける。
    5025良さげ。
    6025最適。裏にも透けない。
    7025薄いが輪郭がはっきりしている。

    毛のある生地。ハサミで切るときは布を裏にして布部分だけを切ることがポイントとされている。なのでこの生地は裏返して切ってある。またフワフワしているため、焦点を合わせるときは、布の裏面と焦点が合うようにした。

    番号スピードパワー評価
    16切れない
    18最適。切った部分が取り外しやすい。
    17切れる。②と大差なし。少し取り外しにくい。

    シャツを作るときに使った布。薄い。しわになりにくいため、ポリエステルとの混紡かポリエステル。

    番号スピードパワー評価
    15最適。奇麗に切れる。
    13切れない。
    16若干焦げる。

    フェルト。織物でないので元々ほつれない。

    番号スピードパワー評価
    110焦げる。
    19焦げる
    17切れない。
    18悪くはない。が少し焦げる。
    1.58
    1.257
    1.59
    1.39
    1.510
    1.410これが一番最適かな…。でも焦げるため何とも言えない。
    1.710切れない

    帆布だと思われる。丈夫なためよくカバンに使われる。

    番号スピードパワー評価
    115最適。とても綺麗に切れる。切ったところが飛んでく。
    114悪くないが、中心部分が上手くいかない。
    113②と大差なし。
    110②と大差なし。
    18切れない。
    19切ったところが上手く取り外せない。

    おそらくチノ・クロス。切り口からしてたぶん綿。

    番号スピードパワー評価
    18切れるが裏が少し焦げる。
    17裏が焦げるが、悪くはない。最適?
    16②と大差なし。しかし、布が曲がっていた場合に切れないことがある。
    110裏が焦げる。
    112④と同じく。
    15切れない。

    裏面。白っぽい布は焦げたところが目立つ。

    ちりめん素材。切り口からして、ちりめんの安い方、ポリエステルだろう。

    番号スピードパワー評価
    16切れない
    17最適。切った部分が取り外しやすい。
    18切れる。②と大差なし。

    ジーンズ。

    番号スピードパワー評価
    18切れない
    110切れるが、周りがとてもほつれる。
    112切れる。②よりほつれない。
    115③と大差なし。
    114③と大差なし。

    ジーンズを彫刻すると後ろに染料がついてしまうことが分かった。

    サテンリボン

    番号スピードパワー評価
    13切れない。
    14切れない。
    15切れる。若干切り取りが甘い。
    16切れる。最適。
    17切れるけど、切り口が溶けているから、緻密に作るには向いてない。

    こういう風に、リボンに文字を入れることもできる。(トロテックの受け売り)名前入れたら、プレゼントのラッピングが特別なものになるかも…とか。

    ニット。伸びるためハサミで切りにくい素材の一つ。

    番号スピードパワー評価
    115前にもやった通り、溶ける。
    110①と同じく溶ける。
    18たぶん最適。
    15切れないし、なぜか下半分切れてない。
    16切り抜けない。
    17切れるが、中のパーツを取り出しづらい。

    カッティングマシーンのデータ収集

    試してみたが、どうにも布が切れない。刃が滑ってしまうみたいだ。カッティングプロッタCE6000の方は、切り始めの部分の穴が開くだけで、切れる予感がしない。切れないとやる気まで下がってしまう。こちらの機械では、ハトロン紙など型紙を切る際に使えるのかもしれない。

    ハトロン紙を切ってみた。

    番号カット圧速さ(㎝/秒)評価
    1730ぐしゃぐしゃになる。
    1210カット圧を下げることで、刃があまり素材にあたらないようにしてみたが、さらにひどい。速さは、細かい図案ならゆっくりの方が正確に出ると思った。
    171②と大差なし。カット圧が低いとうまくいかなかったから、戻してみた。細かい図案はゆっくりで切ってみようとしたが上手くいかない。
    11730図案を3倍にしてみた。小さすぎるとうまく切れないのかもしれない。難しい。

    スキャンカットの方は若干切れるが、こちらも刃が滑って切れない。調べてみると、粘着性の強いカット用のシートを引くことが進められている。試しに両面テープで貼ってみたが、これでも滑ってしまう。難しい。しかし、イラストレーターを使わずに、実際に書いた図面をそのまま切ることができるため、こちらの方がワークショップ向きかもしれない。

    マスキングテープで貼り付けると、マスキングテープがきれいに切れた。刃の跡が布に少しついた。

    フェルトをカット用のシートに張り付けて切ってみた。刃が通った後は弱くなっているので、無理やり切り抜く(?)ことはできた。しかし、これでは使えない。刃の長さは12にした。

    ジーンズを切った。これも刃が滑って切れない。

    薄手の布は、アイロン接着テープをつけて布を丈夫にすることで切ることができるらしい。アイロン接着テープ…接着芯のことのようだ。しかし、実際やってみるとうーん。うまくいかない。刃を直接当てて布を切るのは向かないのだろうか。

    紙に絵をかいて、スキャンしてそれをスキャンカットで切り抜いた。若干刃が滑っている感じもするが、図面通りに着ることができる。これは便利。

    カッティングマシーンのデータ収集 をの2

    カッティングプロッタの使い方を間違えていて、カットする方に刃をセットしてなかったため、また切ってみた。

    ボール紙(ティッシュ箱)。上はコピー用紙を貼って、下はそのまま。どちらもきれいに切れる。

    コピー用紙。こちらは大変良くきれいに切れる。「ペン書き」の設定を使った。

    ①は1回だけ切った。②は2回同じところを切った。布は切ったところがボロボロになってしまう。

    ハトロン紙は相変わらず切れない。カッティングプロッタできるにはある程度厚みが必要なのかもしれない。

    当日スケジュール

    時間予定備考
    12:40~集合荷物置き場は1-201
    13:00~開始定刻にならなくても集合し次第開始
    13:00~(10分程度)ワークショップの説明と自己紹介ワークショップの流れ、機材の説明等
    13:10~(30分程度)図案の作成(ワーク①)コピー用紙?に図案を描いてもらう。
    13:40~(30程度)切り取り(ワーク②)カッティングプロッタもしくはスキャンカット、レーザーカッターを使って図案を切り取る
    14:20~(15程度)休憩
    14:35~デスカッション(ワーク③)デジタルで切るということは、ほかにどんな作品を生むことができるか。実際に手を動かして作業しながら進める。
    16:30終了
    17:00完全撤退

    機材、価格について

    せっかくワークショップで学んだら、機材欲しいなって思うのが人間である。機材の価格について簡単にまとめておく。

    レーザーカッター

    URL
    商品名加工範囲出力価格(主にアマゾン参考)
    Meterk レーザー彫刻機 レーザー刻印機 加工機42mm×42mm1500mW18441https://www.amazon.co.jp/dp/B071KNFPS5/?coliid=I275Q7N1NLN5WB&colid=3A63KE9T5PDBT&psc=1
    KKmoon デスクトップ DIYレーザー彫刻機395mm×285mm500mW20999https://www.amazon.co.jp/dp/B07MP1XPZM/ref=psdc_2039475051_t2_B071KNFPS5?th=1
    KKmoon デスクトップ DIYレーザー彫刻機395mm×285mm5500mW47999https://www.amazon.co.jp/dp/B07MP1XPZM/ref=psdc_2039475051_t2_B071KNFPS5?th=1
    レーザー彫刻機レーザー刻印機155mm×175mm3000mW45999https://www.amazon.co.jp/dp/B07QP6BLQ2/ref=psdc_2039475051_t2_B07MP1XPZM
    iFormosa レーザー DIY 彫刻機42mm×42mm1000mW8000https://www.amazon.co.jp/dp/B07DLXXHPP/ref=sspa_dk_detail_5?psc=1&pd_rd_i=B07DLXXHPP&spLa=ZW5jcnlwdGVkUXVhbGlmaWVyPUFDSTgzM0ZESUNZSTEmZW5jcnlwdGVkSWQ9QTA2NjA1NDUzUDY5VERHU1RXVDBTJmVuY3J5cHRlZEFkSWQ9QTJSRjNKWVZEUjhWOUcmd2lkZ2V0TmFtZT1zcF9kZXRhaWwmYWN0aW9uPWNsaWNrUmVkaXJlY3QmZG9Ob3RMb2dDbGljaz10cnVl
    AS-5 USBパーソナルCNCレーザー彫刻木材切断機100mm×100mm15000mW56984https://www.amazon.co.jp/dp/B01N7QDJHB/ref=psdc_2034538051_t3_B07LGV3LT4
    TEN-HIGH CO2レーザー彫刻機 DIY加工機300mm×400mm40000mW213412https://www.amazon.co.jp/dp/B00BKWOSLO/ref=psdc_2034538051_t2_B07Q5RB4WS

    卓上タイプは比較的お手ごろな価格だけど、ピンからキリまでだそうです。レーザーを照射するところのパワーが上がると、値段も上がるし、レーザーの熱を冷やすための装置が高いらしい。作業面積が上がると、その分だけパワーがいるから高くなる。(ここまで機械詳しい友達の受け売り。)ワッペンとか小さい奴なら卓上で十分だけど、服切る場合は大きい作業範囲がいるから、機材が高い。難しいところだ。

    カッティングマシーン

    こちらは、刃をコンピュータで制御して切るわけだからレーザーカッターに比べたら値段は安い。学校にあるカッティングプロッタは、調べたらたぶん12万ちょい。スキャンカットは3万6千だと思われる。でも、やっぱ機材は高い。相当制作が好きじゃないと、費用対効果が悪い。だからこそのファボラボだけど。

    メモ

    布の素材よりも厚さにレーザーカッターの設定は強く影響を受ける。化学繊維の方は溶けて切れるから、パワーは同じ厚さの天然繊維より低い傾向。スピードが1をデフォルトにしている理由だが、細かい部分も切りやすいのと、作業のスピードを両立できるのではないかということ、鱗の服を作った時にこのスピードの設定で行ったことが挙げられる。

    :ワークショップの流れはこれでいいか

    当日資料

    説明するのにビジュアルがあった方がいいだろうと思い作成

    こちら

    反省・学んだこと

    当日の反省

    参加したのは、2組3名。スタッフは私と邑井さん。

    計画立てたのに全然上手くいかなかった。ワークショップで一応作ろうと思った、見本のワッペン忘れるし、カッティングプロッタもスキャンカットもいまいち上手く動かせなかったし。レーザーカッターは比較的使い慣れているからある程度説明は出るけど、カッティングマシーンは全然で、もっと勉強しなきゃなって思った。参加者の方にカッティングマシーンを使ったことがある方がいて、ほとんど助けられてしまった。情けない。訓練と経験と、正しい知識(説明書)の準備が大切だなと思った。

    考えてた作業上手くいかないなって思ったから、いきなりワーク③の実際に切ってみるやつをやった。私の中では、機械を動かすのを体験してもらうつもりだったけど、デモンストレーションが中心になった。機械の設定とか操作はスタッフがやった。紙の図案を持ってきている方がいて、スキャンしてデータにしようと思ったけど線が多くてうまくいかなかったから、邑井が画像から似たようなデータを作って、それで染めの型紙を切った。手で切ることとの違いとスピードを理解してもらえた。やっぱデータを作れれば、機械は速い。その方は、パソコンでデータを作るのはやったことがないけど、パソコンでできれば楽だなというような感じだった。

    写真をとるのをすっかり忘れていた。

    ワークショップで作ろうと思ったワッペン。これは、邑井さんの作品。当日は書いてある通り、予定通りにいかず、結局作らなかった。

    参加者の持ってきてもらった布でテストをした。同じ編み方でも糸の種類によって出来栄えが異なる。混紡もレーザーカッターとの相性がいいらしい。

    学んだこと、やってよかったこと

    ワークショップをやるにあたって、参加した人がそれぞれ何か発見や学んだことがあればいいなと思い、それを思い返した。

    私は、染めの型紙もレーザーカッターで切れることがわかったし、参加者の方が持ってきた試し布で、知らなかった素材を知ることができたのでまた創作意欲がわいた。自問自答じゃなくて、専門分野が少しずつ違う人と交流できることはすごく刺激になった。邑井さんは、参加者の方からほかの場所のオープンラボの話を聞けて、その方の論文を読んでみたいといっていた。

    参加者の方からは、染物の型紙がレーザーカッターで作れることを知ることができたり、紙をスキャンするときにスキャンされない色のシャー芯の話を話せたこと(データがスキャンで作れるかもしれない)。他のファボラボでは布をメインにしたワークショップがないので、布を切るときに板に貼り付けるという切り方を学べたようだった。

    今後

    今回は計画通りに何も進まなかったから、次もしやるなら、確実に計画通りにできるかを試すか、計画通りに進まなくても臨機応変に対応できる計画を立ててワークショップをやりたいと思った。

    布を切るがメインなのは意外と需要があるかもしれない。今回のターゲットのように洋服制作に知識のある人を対象にして、より簡単に切ることについてワークショップをしてもいいし、洋服を作ったことがない人にも作りやすいレシピで服を組み立ててもらうワークショップも面白いな。

    ワークショップの話の中で出たが、学校の先生の授業準備にデジタルファブリケーションが利用できるみたいなこともあるらしい。家庭科、技術、数学、算数、幼稚園・保育園の先生など…。